おにぃちゃんが守ってあげるよ

7

和哉サイド

「ケホケホ・・・・・。」


咳、止まんないね。

さっきから声もがらがらになってきたし。




和「次は和にぃに喉見せて?」


「えっ・・・・いやぁ。。」


ありゃ、せっかく笑顔になったと思ったらまた涙が出てきちゃった。

こんなに嫌うのは訳があって。。






雛が小さい頃、風邪で病院に連れていったんだけど。

当然雛は泣いちゃって、看護師に無理やり押さえつけられて診察されちゃったんだよね。

喉を診るときも舌圧子で強く押されて・・・・。

それで今もトラウマになってるんだ。

動くと危ないときは俺だって固定するときはあるけど、無理やりは可愛そうだからできればやりたくない。

雛が病院嫌いになったのはその時のせいなのかも。。





「和にぃ、いやっ(涙)!!!!ん、ゲホゲホ!!!!」


和「まだやんないから大丈夫だよ~

よしよし。」


興奮しちゃって咳が止まらなくなっちゃった雛の背中を擦ってやった。


「ふぇ~ん・・やり・・ヒック・・たくな・・い。」


和「うん、いやだよね。。」


苦しそうに泣く雛を見て俺も心がぎゅっとなった。

あの日から「雛を守ってやりたい」と強く思い始めたんだ。

病院に行かなくても見てあげられるようにって。



和「お口あーんってしてればすぐ終わるんだよ?」


「・・ヒック・・・でも・・・おえって・・ヒック・・・なっちゃう・・・。」


和「おえってなっちゃうのが怖いのか。

じゃあこれ使わないでやろうね^^」


手に持っていた舌圧子をテーブルに置いた。


和「ぺったん使わないから大丈夫だよ~

雛、あーん」


「・・・ヒック・・・・ぁぁ~」


すごく小さいけど自分から開けてくれた。

その調子!!


和「偉いね~ もうちょっと上向くよ。」


雛の顔を優しく包みこんで上に向かせ、顎を引いてやった。

ちょっと舌に力が入っちゃてるかな?


和「あーって言ってみて??」


「・・・ぁー。」


和「ありがと^^・・・はい、おしまい。」


風邪引いちゃたね。

最近、テストと部活の大会が重なっていたから疲れちゃったのかな。


「・・・もう・・やらない(涙)」


和「うん。もうやらないよ。

頑張ったね~」


雛の身体を抱きしめて背中をトントンしてやった。
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