【同性愛】それでも好き
「……っ、さむっ!」
風がふき寒さから目を覚ました。
起き上がるとまるで時間がたっていないみたい…。影の位置が変わっているくらいで特に変化はなかった。
携帯を開いて時計を見ると2限が終わって休憩中の時間だ。俺は教室に戻りたくなくてそのまままた目を閉じた。昨日は眠れなかった…もう少しここで眠りたい…
「…お前になら、いいよ」
「へ?」
目を閉じるとすぐに隣から声が聞こえ俺は慌てて起き上がった。
「那智!!なんで?え?いつから?」
「さっきから」
慌てる俺に対し那智は冷静だった。
「…龍になら、いいよ。そう思えるんだ…」
「何が?」
俯く那智の顔はハッキリとは見えなくて、俺は首をかしげ体を揺すった。
「…向日葵が好きだけど、俺は向日葵にとってそういう存在じゃないんだ。あくまで友達だから…」
”友達”
そう言ってしまえば俺と向日葵だって友達だ。
”俺ならいい”
そう思えてしまうのは一体何を思ってなんだろうか…。俺からすれば、俺よりも那智が一番いいんだと思うのに。
「…友達つたって、そんなの始めは誰でも友達だろ?」