【同性愛】それでも好き
雲の間から太陽の光が差し込むと、体が暖かくなる。両手を高く伸ばし背筋を伸ばし那智を見た。横にいるその表情にはどこか寂しげで、でもなぜか優しそうな笑みが浮かんでいる…。
「そう思ってた…、友達から始まっていつかもっと近くにいられる存在になるって…。俺がヒーを守って、俺なしじゃいられないくらいに…」
それならもう叶っているんじゃないのかって言いたくなってしまうほど、二人の関係は親密だと思った。向日葵は那智を信頼しているっぽいし、初めて向日葵たちの教室に行った時だって真っ先に俺を紹介したのは那智にだったんだから。
「一番近くにいるのは那智だと思うけどな」
それが率直な意見だ。俺は、自覚をしてしまうくらい、今、向日葵が好きだ。だけど、それを言えない、向日葵の気持ちを受け入れてあげられないのは他に理由はないただひとつ。
”那智”という存在だ。
チラっと横目で相手を見ると、クスリと笑ってから三角座りの那智はぎゅっと膝を抱きしめた。
「近くにいすぎたから…、居すぎて、ヒーには俺は透明人間だよ」
「…え?何言ってんの!向日葵は那智のことすごい頼りにしてんじゃんか!ちゃんと見えてるって!」
「違う!…そういうんじゃない…近すぎて見えてないんだってば!龍だってそうだろ?あのこないだのアイツ、お前が好きなんだろ!」
今まで静かだったのに、急に熱が入ったように俺を睨んで怒鳴りつけてきた。
「……アイツって…」
ケイ…のこと?