【同性愛】それでも好き


「…ケイは…だって、男だもん始めから友達だと思って接してるしさ」


「だから…俺とヒーは友達だ。友達以上になることなんてないんだ…」


 俺がケイを友達としてしか見れないのはこういう事なのかな?ただ相手が男だからと理由ではないことはわかっていた。現に俺は男である向日葵を好きになっているから…。でも、どう考えてもケイをそういう対象にはみれない。


昼休みにケイがいったい何を話してくれるのかはわからない。でも、2つには絞れる。


俺に告白をするのか、しないのか…どっちかではある。



その時俺は『友達だから』ってそう言うつもりではいる。友達以上になることは…この先ないと思うから…



「ヒーは、代わり代わりに誰かと付き合って…いっつも泣いて俺の所へ戻ってきた。どいつも最低で、許せなかった。本気で好きなヤツは振り向いてもらえなくて苦しいのに…、その時の気分でヒーを玩具のように扱って捨てていくのが…」


 食堂で会ったあの先輩も…そのうちの一人なのかな?とは言えなかったけど、那智の気持ちは伝わった。


どんなに優しくしても向日葵は那智を好きになることがなかった。弱みにつけ込んで優しくしても、慰めてあげても…すべての行動が向日葵にとっては”友達”としてでしか受け入れられていなかったから…



「龍が来た時だってどうせすぐに捨てるんだろって思った…。どうやれば離れていくのかって考えたら…答えはすぐに見つかった。」


俺がケイに与える優しさを、ケイは犬のように喜んでいた。しっぽなんかないけど、見えそうなくらい喜んでいて、いつだってケイの周りには花が飛んでるようだった。
もし同じ優しさを与えられても俺はケイのように喜ばないだろう。

それが、那智の言う”透明人間”だから…



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