【同性愛】それでも好き
「……うん」
コクリと頷く俺を見てまた優しい笑みを浮かべる。今の頷きに何の迷いもなかった…
「本気で男同士のつき合いは難しいぞ…でも、龍なら大丈夫そうだな…」
ポンポンと俺の頭をなでるとそのまま歩き出し扉へと向かっていく背中。
「…那智、俺…俺、向日葵が!」
「それわ!」
言い切る前に那智の声が重なった。
「それは、向日葵に言えよ…俺は向日葵じゃないから!それと、…あんまり泣かせると俺が許さないからな!」
振り返ることのなかった那智…けど、その手は俺に降ってくれていた。
「怖いな…、でも、うん!向日葵に言うよ!」
那智と話して心ん中で引っかかっていたものが取れたように体が軽かった。
全部言おう…、ケイにも向日葵にも…
自分の気持ちを言ってしまおう。
あっと言う間にすぎた時間に驚きながらも、どことなく嬉しかった。
”好き”
その気持ちはどこまでも進み続けていたから。