【同性愛】それでも好き
約束
「一年って早いな…」
「そうだね~」
あれから一年が経った。
10月の終わりの風はちょっと冷たくて、でも向日葵といるとすっごい暖かく感じた。
「龍、来年どうすんの?進路決めた?」
「ま~だ…、今は向日葵がいればそれでいいよ」
屋上の物置は死角になっていて誰にも見えない。それにこの時期寒くて滅多に人がくることはないし、そもそもあまり屋上は人気じゃない。
屋上より中庭の方がみんなが集まりやすく俺らは屋上をいつも占領。
わざわざ死角にこなくてもいいけど、念のために俺らの定位置はココだ。
「龍…俺の熱奪ってんだろ?寒い!!」
こうやって抱き合っていられる唯一の場所…
向日葵とはコースが違うからクラスが同じことになることはない。変なやきもちを持つことはないけど、でもだから休み時間はこうやって抱きしめていたくなる。
「抱きしめられんの嫌?始めのころは向日葵ガツガツしてたのに…」
「うっせ!龍だって照れまくってたじゃん!何もできまいまま休み時間終わったこと何回あったか…」
「成長したっしょ?」
クスクス笑いながら、なお力をいれ抱きしめる。
こんなにラブラブだけど、俺らはキス以上をしたことがない。
それを求めているわけでもないけど向日葵はそういう話をしないし…。俺には避けてるようにも見える。
やり方もよくわかってないし…、それが目的じゃないから何も言わないけど、最近になって少し思う…
どうして、向日葵は俺としたいって思わないのか?
「あ!チャイムなるよ!俺、先に行くね。」