ドロップアウト
部屋の中の窓方面におかれた二人掛けのソファには、先程“アル”と呼ばれていた白髪の“アルフェ・レアリード”と灰色の髪をした“ルーウェン・アルバンス”が、
その対面におかれた二人掛けのソファにはこの部屋の持ち主である序列一位の貴族家の生まれの“フラン・トゥウォーリー”が座っていた。
「•••本当にソフィだったの?
見間違いとかじゃあ•••」
まず始めに口を開いたアルフェ。
「さっきも言ったが。
俺がソフィを見間違うはずないだろ」
その問いを否定したフラン。
「何故そう言い切れる?」
さらに訪ねるルーウェン。
「そりゃあ、俺があいつを••••って、
今そんなことどうでもいいだろ。」
「どうでもよくないだろう。
ソフィ生存説の真偽に関わることだ。」
「なんだよその説。初めて聞いたぞ」
「今作ったんだ。当たり前だろう。」
まだまだ続きそうなフランとルーウェンの言い争いを止めたのは“パンパン”という二回の拍手。
その音源は始めの問い以外ずっと黙っていたアルフェだった。
「そんな事より、他に見たものはないの?
例えば•••誰と一緒にいた•••とか。」
「そんな事って•••。まあいいか。
確か女一人と男二人と一緒にいたな。」
「その中に顔見知りはいた?」
「顔見知り•••っつーか。
父さんの仕事関係で知ってるって程度の奴だけど。
てか、お前らもたぶん知ってるぞ。」
「俺達も知ってる奴•••?」
「ああ。
ほら、あいつだよ。クリスタルの販売会社社長の息子、“セロン・ウィーカス”だよ」
「ウィーカスカンパニーのあいつか。」
「“無愛想”で噂の彼のことだね。」
「それお前が言うのかアル。
お前も似たようなもんだろ。
ニコリともしやがらねぇし。」
「うるさいよフラン」
そう言い返したアルフェの顔には愛想の欠片も感じられなかった。