ドロップアウト
「な、なんでフランが!?…嫌だよそんなの!危ないんだよ!それに………フランがいないと……私……」
少女にとってこの少年は心の支え。自分のそばから消えるなど考えたこともなかった。
先程止まったばかりの涙が少女の目から溢れ出す。
その様子に少年は困ったように頭をかく。
「俺の他にも守ってくれる奴はいるだろ、アルとルーウェンが。何があってもあいつらはソフィの味方だ」
それでも少女の涙が止まる気配はない。
「…泣きやめよ、泣き虫だなー。」
「泣き虫でいい……行かないでよ…」
出来ることなら少年も行きたくはない。少女の言う通り、危険だということが解っているから。
だがこれは父親の跡を継ごうとする少年にとっては願ってもいないチャンスなのだ。
みすみす逃すわけには行かない。
「一年…いや半年だ。半年で必ず帰ってくる。だからそれまで待っててくれ」
「………本当?」
「俺が約束破ったことあるか?」
溢れていた涙が再び止まる。
「ない」
「そっちこそ、約束守れよな」
「え、私?」
少女の問いに口角を上げて少年は答える。
「戻ってくるまで、ちゃんと待ってろよ。」