ドロップアウト
「な、何故アルフェ殿下がここに?」
破裂寸前の頭を何とか動かし、平静を装いながらチェルノは尋ねる。
が、少し動揺が表に出てしまった。
それを察したアルフェは答える。
「君は•••チェルノ・クライシアだね。
ルーク殿にはよく世話になっているよ。」
が、答えた内容はたわいもなく、チェルノの問いかけの返答になっていなかった。
そんなアルフェの様子に、チェルノは少し眉を寄せ、深い緑の瞳の奥に戸惑いを見せた。
アルフェは小さく息を吐くと、右斜め後ろに控えていたルーウェンにちらりと視線をやる。ルーウェンはアルフェの碧い目を見るだけで何も示さなかった。
それを受けたアルフェは答える。
「•••“どうしてここにいるのか”だったね
そうだね•••
城の中では学べないことがたくさんあるからかな。」
嘘は言っていない。
だが、真の理由はこれではなかった。
アルフェは、少しばかりの罪悪感をまた胸に閉じ込めた。