ドロップアウト



◇◇◇

そうこうしている内に玄関の方向から物音がして誰かがこの家に来た。

それに気がついたソフィアは三人に向かって
もう一度行ってきますと声をかけると今度は思っていたとおりの返しをもらって、玄関へ走っていく。


ソフィアがいなくなった後、ダイニングではチェルノがもどかしそうにルークとマーシャに語りかけていた。


「本当は.....出発地点も目的地も同じなんだから俺が一緒に行ければルルアちゃんたちも毎日遠回りしてまでここに迎えにこなくていいのにな...」

「それは仕方がないだろ。王族だったソフィアが王家を追放されたことを知ってるのは一部の王族とその側近だけだ。貴族含めその他の奴らは皆王女は賊に攫われ殺されたと思ってる。実際俺もそう思っていた。
なんせ陛下直々にそう発表されたからなぁ。
そんなあいつがクライシア家の人間と行動を共にしてるとこを目撃されたとあっちゃ、クライシア家に王女誘拐の容疑がかけられる。
ソフィアにクライシアの名を名乗らせてやることが出来ねぇのは心苦しいが....ソフィアもそれを望んでいる。
互いの為にもこれが最良の選択なんだ。
気に病むな。」


ソフィアは実際には国王により王家を追放されたのだが、国王はソフィアは賊に攫われ殺されたと発表していた。
恐らくは自分を守るためだろう。
国だ何だと言っておきながら結局のところあの国王は自分が一番可愛いのだ。



< 8 / 33 >

この作品をシェア

pagetop