Another Existence
「もうー、いっちゃん大丈夫?
元気出して。だから、やっぱり元気出すにはまずご飯食べなくっちゃね!
いっちゃんお昼どうする?
私、もうお腹ペコペコで死にそう~」
…ここには心から心配してくれる奴は居ないのだろうか。
「はぁ…別にどこでも。
理子が適当に決めて」
そう言えば、理子はキラリンと効果音が鳴りそうなくらい目を輝かせた。
「え!やったぁ!
んーとね、…裏庭のベンチがいいかなぁ。
今日天気いいし
ポカポカしてて絶対気持ちいいよ!」
「ん。じゃ、薫と先行ってろよ。
祥太朗、購買。」
リュックから財布を取り出してポケットにしまい、購買で並んでいる時のある程度の暇つぶしになるように、
俺の髪やメガネと同じ色の真っ黒なスマホも反対側のポケットにしまった。
「はーい!いってらっしゃい!
じゃあ、かおるん行こ!」
「おー。あ、裏庭の前に
隣のクラス行っていい?」
お弁当を持ってきている組の2人の会話を横目に、
俺と同じ買い弁組の祥太朗を呼びながら、スタスタと教室を出ると、
祥太朗は遅れながらも俺の隣に駆け寄って来た。
「あ!やばい!尿意がいきなり!
いっちゃん、俺っちトイレ行きたい!
もれるぅー!!」
「はぁ…さっさと行って戻ってこいよ。
購買長時間並びたくない」
と呟くが祥太朗は既に居なくて、近くにあったトイレへ駆け込んで行っていた。
壁に寄りかかり待っていれば1分程で
祥太朗は笑顔で俺の元へ帰って来た。
は、何。帰りが早いのは結構だけど気持ち悪い。
「ボソッと言ったつもりだろーけど
聞こえてるし!顔にも出てるし!
誰でも我慢してたもの出せたら
笑顔になるでしょーが!」
「声でけぇよ、バカ。
言ってること意味わかんねぇし。
だからお前は理子にバカにされんだよ、バーカ。」
「なっ!さっきから理子も薫もいっちゃんもバカバカ言い過ぎ!!カバになっちゃうよ!」
あー、ほんとうっさい。
肩の高さはガタガタだけど、2人で肩を並べて、くだらない冗談を交わしながら購買へ向かった。