Another Existence
dog and monkey
飢えた者たちの争奪戦の戦場が繰り広げられた購買で、人気なパンを見事獲得した俺達は今度は裏庭へと向かっていた。
だが、裏庭に繋がる1つだけの道が謎の生徒の人だかりによって阻まれてしまった。
何かと思えば、突然劈く様な歓声が廊下中…いや、学校中に響いた…と思う。
「「「キャーーー!!」」」
「うお?!うっさっ!」
周りから女子の黄色い声や男子の野太い声があちらこちらから聞こえる。
隣にいる祥太朗もあまりにも大きい歓声に驚いて肩を揺らすくらい。
何かを囲むように集まる生徒の人だかりのおかげで裏庭へ行ける1つの道が通れないのは少々いただけない。
耳につく歓声に眉を顰めながら、
大方予想はつくが、人と人の間から確認のつもりで覗いてみれば、
人だかりの中心には、
この街一体や飛高を束ねる暴走族の「飛龍」がいた。
飛龍の今の代の幹部達は皆揃って恐ろしいくらいに容姿端麗。
所謂" イケメン "ってやつ。
そのおかげで、女子達がよく騒いだり、追っかけしていたりして
アイドルに劣らない人気の高さだ。
けれど、最近姫が出来たとか薫から聞いた。
詳しい事は知らねぇが、とりあえず美人らしい。
その姫さんの話も加えて、一目見ようという魂胆の人達が沢山押し寄せたから、 こんないつも以上の人だかりが出来たのと理解するのにも
そう時間もかからない。
そんな彼等の中に、俺の腹違いの同い年の弟の伊澄ーイズミーもそこに混じっていた。
俺とよく似た弟を人だかりの中から見つけるのは容易。
腹違いだってのに、お互い父親に似たせいか双子だと言われてもあまり違和感がないくらい似てる。
違うところと言えば、性格と
ハーフの父親から俺だけに受け継がれたブルーグレーの瞳くらいだ。
ああ、2個上の兄貴の伊月ーイツキーも
俺と同じブルーグレーだったけ。