365日、君を想う



楽しいバースデーパーティーも終わり、二人は「また明日ー」と帰って行った。




一人、残されたあたし。




「………暇」




あたしは高校入学を機に、一人暮らしを始めた。




再婚したばかりのあたしの母親。

そんな新婚ホヤホヤの二人の間に、あたしはただの邪魔物に感じて。

それはもう、何て言うか。居心地が悪くて…自分に居場所が無くなったような、そんな気がしていた。




だから、反対する母親を押し切り、一人暮らしを始めた。



だけど、これはこれで寂しい。

母親と二人で暮らしていた時は、あたしが家事を受け持ち、母はひたすら働いていた。

苦労はしたけど、母の愛情はちゃんと身に染みていたから…。

笑顔のたえない、明るい家庭だった。

好きな本も、服も。満足に買えなかったけれど…。


幸せだったの すごく。




母の再婚は素直に嬉しい。新しい父もとても良い人だし、稼ぎも良い。


これからは本も服も、好きなだけ買ってもらえる。





だけど………





どこか、寂しかった。



何かが、変わってしまう気がしたの。





< 5 / 22 >

この作品をシェア

pagetop