幸せ行きのチケット
水族館当日。

いつもよりも少しキュートな服装に、メイクもきっちりこなした。

祐輔に可愛いって思ってもらうために。

以前とは違う自分。

バイクに乗って楽しむ私は今はいない。

ただ、祐輔に想ってもらいたくて。

祐輔と仲直りしたくて。

そのために頑張る。

男っぽい所を無理につくろうとしていたが昔だが、今の方が楽しいような気がする。

普通の女の子でありたくて。

勉強して運動して、恋もして……。

ただ、両親がそろっていないことだけは普通じゃなかった。

それだけはどうしようもなかった。

だから苦しかった。

あの時、祐輔と初めて会った日、私は親とけんかして偶然にあの場所へと向かっていた。

人がいたと知り、びっくりした半面、温かい気持ちになれた。

『私の周りに人がいなくなる。』

そう思っていたから、祐輔を見たとき、すごく嬉しかったんだ。

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