Rose of Blood 【リメイク版】
◆第1話 鏡の中
鏡に映る自分の姿は見慣れたはずなのに、年に一度のこの日は不思議と違って見える。
「まぁまぁ、やっぱりそのワンピースは瑠花(るか)に良く似合うわね。」
「本当? お母さんの見立てが良かったんだよ。」
鏡の前に一緒に立ったお母さんは、幸せそうに笑った。それにつられて私まで笑顔になる。
このお家の子供になれて心の底から良かったと思う。
「可憐で心優しくて、そして芯のしっかりしている瑠花は私たちの自慢の娘だよ。」
「もーお父さんってば大げさだよ。」
「あはは、そろそろ行こうか。」
ドアから顔を覗かせたお父さんの後を追って、お母さんと一緒に部屋を後にした。
今日は私の16回目の誕生日。けど今日が生まれた日な訳じゃない。今日は私がお父さんとお母さんに拾われた日。その事実を告げられたのは、中学に進学して直ぐの事だった。
私を抱きしめて泣き崩れるお母さん。そんな私たちを大きな胸で抱き留めてくれたお父さん。思い返してみれば、腫物を扱うように私に接する事があった両親。話を聞いて納得した。けどその日を境に私たちは本当の親子に慣れた気がする。
ホテルへ向かう車の中でも仲睦まじい両親。後部座席から見る両親の姿が昔から好きだ。
外に目を向けると、窓ガラスに首からかけているネックレスが映った。Rの文字に添えられた小さな薔薇のネックレス。これは捨てられていた私が首からかけていたものらしい。恐らく名前のイニシャルだろうという事で、両親は私に瑠花という名前を付けた。両親から真実を聞いたあの日、このネックレスを捨てようとした。けど、何故だか捨てることができなかった。捨てるどころか、毎日身に着けている。
_どうして私は捨てられたのかな?
いくら今が幸せでも、その疑問だけは拭えなかった。
「まぁまぁ、やっぱりそのワンピースは瑠花(るか)に良く似合うわね。」
「本当? お母さんの見立てが良かったんだよ。」
鏡の前に一緒に立ったお母さんは、幸せそうに笑った。それにつられて私まで笑顔になる。
このお家の子供になれて心の底から良かったと思う。
「可憐で心優しくて、そして芯のしっかりしている瑠花は私たちの自慢の娘だよ。」
「もーお父さんってば大げさだよ。」
「あはは、そろそろ行こうか。」
ドアから顔を覗かせたお父さんの後を追って、お母さんと一緒に部屋を後にした。
今日は私の16回目の誕生日。けど今日が生まれた日な訳じゃない。今日は私がお父さんとお母さんに拾われた日。その事実を告げられたのは、中学に進学して直ぐの事だった。
私を抱きしめて泣き崩れるお母さん。そんな私たちを大きな胸で抱き留めてくれたお父さん。思い返してみれば、腫物を扱うように私に接する事があった両親。話を聞いて納得した。けどその日を境に私たちは本当の親子に慣れた気がする。
ホテルへ向かう車の中でも仲睦まじい両親。後部座席から見る両親の姿が昔から好きだ。
外に目を向けると、窓ガラスに首からかけているネックレスが映った。Rの文字に添えられた小さな薔薇のネックレス。これは捨てられていた私が首からかけていたものらしい。恐らく名前のイニシャルだろうという事で、両親は私に瑠花という名前を付けた。両親から真実を聞いたあの日、このネックレスを捨てようとした。けど、何故だか捨てることができなかった。捨てるどころか、毎日身に着けている。
_どうして私は捨てられたのかな?
いくら今が幸せでも、その疑問だけは拭えなかった。
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