Rose of Blood 【リメイク版】
「そのネックレスは誰かからの贈り物?」

「……っ。」


ネックレスの話しをするという事は過去を話す事になる。今まで誰かに自分の過去の話しをした事はなくて、話をするのを躊躇った。

ジョシュさんの顔を見ると、困ったように微笑まれた。


「話したくなければいいんだ。 ただ、出来る事なら聞きたい。」


ジョシュさんがどうしてこんな事を聞いてくるのかは分からないけど、必死な様子のジョシュさんを見ていると話した方がいいのかなと思った。私の事を知らない人たちだからこそ、話してもいいのかなって思えるのかもしれない。


「私……赤ちゃんの時に捨てられてて、そんな私を今の両親が拾って育ててくれたんです。 千切れてしまったネックレスは、その時私が付けていたものです。 だから誰にもらったとか、そういうのは分からなくて……っ。」


涙が流れて慌てて手で拭った。拭っても拭っても流れる涙に嫌気がさす。下唇を噛みしめていると、乱暴に腕を引っ張られた。頭の中が真っ白になって、何が起こったのか理解するのに少し時間がかかった。

抱きしめられてる?しかもシエル、に!?


「っヤダ!! 離して!! 離してってば!!」

「その顔で泣くなと言っているだろう。 学習しない女だな。」


さっきまで散々人の事脅しておいて何なの!?

手だけじゃなくて体もひんやりしていて冷たいのに、規則正しく聞こえる心臓の音はとても温かく感じられた。

この人意味わかんない。

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