Rose of Blood 【リメイク版】
一日の授業が終わり、舞と二人で校門に向かって歩いている。美樹は吹奏楽部に入っているから、帰りが一緒になる事は殆どない。


「瑠花はエプロンの柄、どんなのにしたの?」

「エプロン?」

「まさかまだ買ってないの!? 明日の家庭科で作るエプロンの生地よ!」

「あ! 忘れてた!!」


そういえば次の家庭科の授業までにエプロンの生地用意してなきゃいけないんだった……。

途中で舞と別れて生地を買いに行った。心配をかけない様にお母さんにもメールを送った。

お店に入ると当たり前ながら生地がたくさんあって、どれにするか中々決められなかった。気付けば30分以上店内をうろうろしていた。

_さっき見た小花柄の生地にしようかな。

店員さんに声を掛けて生地を必要な分だけカットしてもらい、無事に買う事が出来た。舞が話をしてくれなかったら明日大変な事になるところだった。

ちゃんと買えてホッとしたのか、急にトイレに行きたくなった。お店のトイレを借りて、手を洗っていると、微かに声が聞こえた気がした。


“見つけた……。”


え? 声……?

周りを見渡すけど、誰も居ない。今日のお昼の事を思い出して背筋がぞっとした。


「っ!?」


目の前の鏡を見て一気に体が強張った。黒いフードを被っている人が映っている。怖くて声が出ない。金縛りにあっているみたいに、体が動かない。

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