Rose of Blood 【リメイク版】
ジョシュの声はとてももの静かなものだった。

ローズを喪って苦しんでいるのは俺だけではない。


「妹の事を愛してくれた事、笑顔にしてくれた事、心から感謝している。 だからこそ次へ進んでほしい。 もういい加減自分を責めるのも、後悔するのも終わりにしろ。」


熱く真っ直ぐした言葉は酷く胸に突き刺さった。目の奥が熱くなり、拳にグッと力が入る。


「そう言ってくれるのは有難いんだが、正直分からないんだ。 純粋にルカに惹かれているのかどうかが……。」

「ローズと重ねているかもしれないと?」

「……あぁ。」

「見た目だけじゃなく、他にも似ているところがあるからな。 このまま一緒に居てその事をルカに知られれば、ルカを傷付けると思っているんだろう?」

「……あぁ、そうだな。」


ルカを傷付けるかもしれないという思いもあるが、それでルカに嫌われたらという思いの方が強いかもしれない。


「ローズと重ねてしまっているかもしれないと悩んでいるという事は、ルカの事が好きだからだろう? ルカの事を何とも思っていないのなら、お前はとっくにローズの代わりとして割り切ってルカを傍に置いているよ。 そこにルカの気持ちは必要ない。 俺たち純血はどうでもいい相手にはとても冷酷だ。」


ジョシュの言う通りだ。色香を振りまき近付いてくる女たちを何度突き放しただろう。下心丸出しの貴族どもを何度蹴散らしただろうか。数えきれないくらいあったが、その事で胸を痛めた事も悩んだ事も一度もない。そんな相手に嫌われようが敵意を持たれようがどうでもよかったし、心のどこかでは煩わしければ消してしまえばいいとさえ思っている。




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