笑顔の音
1章

笑顔

桜が舞う中。


私は、学校へ向かっていた。


「希ー!!」


後ろから聞こえた声に振り向くと
佐々木雛乃が、笑顔で手を振りながら
こっちに向かってきた。



「おはよう、希!」
「おはよう、雛乃」


ふわっとした笑顔で笑う雛乃。

自覚がないんだろうけど、
こういうところが男子の目線を集めてるんだよね。



「雛乃、今日来るの早くない?」
「今日は私も朝練行こうと思って」


私達2人は吹奏楽部に入っている。

結構な人数がいるけどコンクールメンバーに選ばれるのは50人。

そのためにも一生懸命練習しないといけない。



「そっか。いつも忙しくて来れなかったもんね」
「うん…だけど私、忙しい事を理由に練習ができないなんてイヤなの」


真っ直ぐな瞳にすごい熱意が伝わる。



雛乃は学級委員だ。放課後も生徒会に少し手伝い事も頼まれている。

部活に来れる時間もそう、多くはない。


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