草花治療師の恋文

『コンコン』


マーガレットはノックの音で目が覚めた。

セイリンの態度に腹を立てて部屋に戻った後、拗ねてベッドに寝転んだまま、うたた寝していたようだ。

体を起こし、目をこすりながら時計を見た。

部屋に戻ってから1時間程経っていた。


「マーガレット様、いらっしゃいますか?」


セイリンだ。

マーガレットは忘れていた感情を思い出した。


「何しに来たのよ‼︎」


マーガレットはドア越しに怒鳴った。

謝りに来るにしても遅すぎる。

うたた寝する程時間が経ってから訪ねてきた事に腹を立てた。

セイリンならすぐに追いかけて来てくれると思っていたのだ。


「お手紙のお返事を持って参りました。」

「…返事?」


(そうだった!一言しか想記できなかったんだ!)


マーガレットは手紙の内容を思い出し、今度は手紙を読まれた恥ずかしさが込み上げてきた。


「そんな物はドアの前にでも置いておきなさい!今はセイの顔なんて見たくないの!」


マーガレットは腹立たしさと恥ずかしさで、とてもじゃないがセイリンと向き合う事ができなかった。


「…マーガレット様、何の罪もないマーガレット様を疑ったことをお許し下さい。」


セイリンはドアの前で謝罪した。


「お返事を扉の前に置かせていただきます。それでは失礼致します。」


セイリンはマーガレットに言われた通り、ドアの前に『返事』を置いてその場を去った。

マーガレットは、セイリンが完全にいなくなった頃を見計らってベッドから降りた。

そして部屋のドアをそっと開けた。

開けた前にはセイリンの『返事』があった。





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