草花治療師の恋文

「マーガレット様、そろそろお屋敷に戻りましょう。」


暖かな陽射しの中で遊んでいたマーガレットに、セイリンは声をかけた。

マーガレットはセイリンに駆け寄って、作っていた花冠を渡した。


「え?…私に…でございますか?」


マーガレットはニコッと笑って頷いた。

さぁ屈めと、手を上下に動かして合図をした。

セイリンは渋々マーガレットの腕が届く位置までしゃがみ、マーガレットに頭へ花冠をのせられた。


「…ありがとうございます。」


複雑な気持ちで主人にお礼を言った。

すると、マーガレットはニヤリと笑うように、イタズラな表情になった。


「マーガレット様‼︎」


恥ずかしくて少し頬を染めたセイリンは、マーガレットに遊ばれた事に気付いた。

マーガレットはそのまま屋敷に向かって走った。

途中振り返り、笑う姿はいつものマーガレットで…。

ただ、笑い声はない。



心に傷を負い、声を失ってから半年の月日が経っていた。
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