草花治療師の恋文

セイリンが当主のライザに呼ばれ、話を聞いてから、セイリンはマーガレットに付きっきりになっていた。


あの時ライザからは、クルガがマーガレットに向けている気持ちが、姪に対する愛情ではないという事、それを何らかのきっかけで知ってしまったマーガレットが、ショックで言葉を失った事を教えてもらった。

ただ…


(本当に原因はそれだけだろうか?)


疑問は残ったが、セイリンはライザからこれから先も、マーガレットの側でずっと支えになって欲しいと頼まれた。

当主からの懇願に、セイリンはもちろん二つ返事をした。

ライザから言われなくても、許される限りマーガレットの側にいるつもりだった。




言葉を失ってからしばらく、マーガレットは外に出ようとはせず、部屋に引きこもる日々が続いていた。

セイリンが声をかけても、心ここに在らずの時も多くあった。

その姿を見ると、まだほんの10歳の少女が心の傷を負ったのだと改めて痛感した。


それでもセイリンは焦る気持ちを隠しながら、マーガレットと向き合っていこうと決めて、半年間接してきたのだ。

< 18 / 41 >

この作品をシェア

pagetop