草花治療師の恋文
翌朝、マーガレットは目を覚ますと入浴をして汗を流した。
夜中に発汗した為、寝具はセイリンが取り外し、マーガレットが入浴している間に取り替えた。
そして汚れた寝具をリネン室へ持って行く途中、呼び止められた。
「やぁ、セイリン。手伝おうか?」
振り向くと、そこには薬事長のカールが立っていた。
カールが薬事室から出ている姿を見るのは初めてだった。
「おはようございますカール。珍しいですね…朝から起きているなんて。」
カールは夜遅くまで文献を読むことが多く、朝は起きるのが遅い。
「おや?僕だってたまには朝に起きるよ?」
カールはいつもの調子で答えた。
「…カール。昨夜のマーガレット様のお薬はいつも通りでしたか?」
「え?薬かい?」
セイリンは念のために聞いた。
「いつも通りだったけど…。何かあったのかい?」
セイリンは、もしカールが昨夜のマーガレットの体調の変化に関与していたら、なんらかの表情の変化があるかと思って聞いてみたが…。
カールの表情は、正直読めない。
「いえ。なんでもありません。」
「そうかい?」
セイリンは会釈をしてその場を去った。
「おやおや…。さすが君の娘だね。」
カールはクスッと笑い、薬事室に戻った。