草花治療師の恋文
自然豊かなウェザ王国。
それほど広くはない国土は、4つに区分され統治されている。
その中の一つ、王国の中心にあたる王都フェイブル。そこから少し離れた町ログスにテンペスト邸がある。
王都フェイブルは中心都市だけあり、自然もあるが産業、教育などが主に栄えており、多くの商人、学生たちが行き来している。
ログスはそんな王都とは違い、深い自然が残る町だ。
そして、その自然多き中で過ごしているテンペスト家は、古くから自然と繋がりが強く、代々受け継がれる能力をもって病を治す『治療師』の称号を国から与えられ、多くの人を助ける役割を果たしている。
能力は生まれた時はみな平等だが、その後の生き方で大きく変わる。
能力開花のきっかけは人それぞれで、教養であったり、経験だったり、精神だったり。
サクマとリアンも例外なく、テンペスト一族の特性を受け継いで生まれ、日々『治療師』として病に苦しむ人々と向き合っている。