夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


自分に用があるとわかると、碧は立ち上がって、向かい合った。


頭一つ分、低い。


見下ろし感に笑いそうになった口元を、宗雅は引き締めた。


「お忙しいところ、すいません。
 プロジェクトの内藤と申します。
 事業団の特別補助の過年度分をお借りしたいのですが」


碧は静かにまばたきをした。


「そうですか。
 どのぐらいまで遡りますか?」

「過去3年分ほど」


碧はキャビネに視線を投げた。


「USBに一部のデータはありますが、全部そろっているのは紙媒体です。
 昨年度のドッチファイルはここにありますけど、それ以前のは倉庫なんです。
 お急ぎですか?
 でなければ明日までに出しておきますが」
< 12 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop