夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
自分に用があるとわかると、碧は立ち上がって、向かい合った。
頭一つ分、低い。
見下ろし感に笑いそうになった口元を、宗雅は引き締めた。
「お忙しいところ、すいません。
プロジェクトの内藤と申します。
事業団の特別補助の過年度分をお借りしたいのですが」
碧は静かにまばたきをした。
「そうですか。
どのぐらいまで遡りますか?」
「過去3年分ほど」
碧はキャビネに視線を投げた。
「USBに一部のデータはありますが、全部そろっているのは紙媒体です。
昨年度のドッチファイルはここにありますけど、それ以前のは倉庫なんです。
お急ぎですか?
でなければ明日までに出しておきますが」