夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
6.
*
この状態だったら、次の日も残業だろうと、M棟の2階に行ってみたら鍵がかかっていた。
終わった?
外に出て建物を見上げると、事務室の窓は真っ暗だ。
終わったんだ、あの量。
少し驚きだ。
宗雅は肩透かしをくらった気分になる。
更に次の日の提出日、コピーをもらいに行こうと思っていたら、庶務部にいるパートのおばさんが持ってきた。
「橘樹さんはいらっしゃいます?」
受取りながら聞いてみる。
パートのおばさんは宗雅を見つめながら目をキラキラさせていた。
「碧ちゃん?
あ、橘樹さんでしたら事業団に行きましたよ」
「これの提出ですか?」
「そうみたい」
遠慮なく見つめられるのに、宗雅は幾分かひきつった笑いを浮かべる。