夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


遠い上座には理事長として自分の父親の姿が見える。


ああ、めんどくせーなー。


また同じセリフを胸の中で呟いて、机上の資料を手に取った。


この学校には理事長と常務理事が毎日出勤し、業務に当たっている。


その他に、名ばかりで権力が殆どない10名の理事がいる。


理事になるには色々とルートがあるのだが、宗雅は理事長推薦枠で就かされた。


こういうのは派閥だから、裏切らない人数が多い方がいいのだ。


この肩書きに就いていることもあったから、プロジェクトに駆り出されたのだとは思う。


常務理事の一人がうちの会社出身でもあったしな。


いつもながらこの会議の意味がないと思い、眠気との戦いだ。


大事なことは理事長と常務理事で決定し、あくまでもこの会議は事後報告会に過ぎない。


それでもクレームをつける理事はいるし、時にはひっくり返そうとする輩もいる。


自分はそういう時に、票を多くとるための要員にすぎないのだ。
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