夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


     *


届いているメールを見て、げんなりした。


昨晩、会議室で案内をされた秘書の武下だ。


ランチに行きませんか?・・・行きたくない。


でも口止めしないとな。


気が進まないまま、待ち合わせの西門に行く。


職員の人通りが多いのに、さらに失敗した気になる。


しかも中々、メールをよこした本人が現れない。


学生までちらちら見ていく。


宗雅は武下が現れる前に、碧の姿を見つけた。


財布のみ片手に持っている所を見ると、コンビニに買い出しだろうか。


「橘樹さん」


気づいていないのか、振りなのか、素通りしようとするのに呼び止める。


宗雅に無表情な顔を向けると、軽く会釈をしてそのまま行こうとしている。
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