夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
「そうですか、じゃあベテランですね」
なんでもない様子で返した。
「内藤さんは、各大学の業務向上プロジェクトに携わって、どのくらいですか?」
碧のつけたプロジェクト名に吹き出しそうになったが、顔の筋肉を引き締める。
「初めてです。
色々と的外れな質問をするかとも思いますが、どうぞよろしくお願いします」
大学の業務改善プロジェクト自体が初の試みなのだが、自分が初めてのように言っておく。
二人は階段を降りきると、カギのかかっているドアを二つ通り抜けた。
「さすが厳重ですね」
「元事務室だった所の奥で、使い勝手が悪いので、再利用しているんです」
最後のカギを開けると、細くドアを開けた。
「ここでお待ちいただけますか?」
人気のない密室に、見知らぬ他人とは入りたくないだろう。
「そうですよね、他社の者が入っては困りますよね」
宗雅はさりげなく他の理由でフォローすると、ずっと真顔のままだった碧の頬が少し動いた。