夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


    *


タクシーの運転手に行先を告げると、ハイブリッド車のため、滑るように動き出した。


宗雅は視線を道路の先にやった。


道路の頭上に首都高速が走っているため、朝の陽の光がさえぎられ、薄暗い。


道路の下には碧が乗る地下鉄が通っている。


彼女の視界は真っ暗だろう。


先行きのように。


後悔する朝を迎えるのは初めてではない。


20代の始めまでは、時々、やった。


こういう後悔は?


・・・どう、これから行動しようか。


いや、もう行動しない、だろう。


自分に向かって呟く。


宗雅はヘッドレストに頭をもたらせると、目を閉じた。
< 164 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop