夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
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タクシーの運転手に行先を告げると、ハイブリッド車のため、滑るように動き出した。
宗雅は視線を道路の先にやった。
道路の頭上に首都高速が走っているため、朝の陽の光がさえぎられ、薄暗い。
道路の下には碧が乗る地下鉄が通っている。
彼女の視界は真っ暗だろう。
先行きのように。
後悔する朝を迎えるのは初めてではない。
20代の始めまでは、時々、やった。
こういう後悔は?
・・・どう、これから行動しようか。
いや、もう行動しない、だろう。
自分に向かって呟く。
宗雅はヘッドレストに頭をもたらせると、目を閉じた。