夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
怖かった。
お蔭で、手を洗うのを忘れた。
碧は通りすがりの給湯室に入る。
電気もつけずに、水を出しっぱなしで、しばらく放心する。
“この際、どうせだったら”って考えるのは邪だろうか。
1回しちゃったら、2回も3回も同じだし。
それに、あと半年もしたらいなくなる。
彼女持ちだけど、妻子持ちと違って法には触れない。
取るつもりも無いし。
お互い割り切っての関係だったら良くない?
いやいや、むこうは1回で十分と思っているかも。
ってか、これって不倫に陥りやすい思考過程では!
「どうしたんですか?」
「うわっ」
思わぬ声に声を上げると、宗雅はくすくすと笑い出した。