夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
「貸してください。
僕が入力しますから。
橘樹さんは、科研を続けてください」
いつも通り向かいの端末を立ち上げながら席に座る。
ええと、いま、ぐっと来ましたけど。
涙出るほど嬉しいです。
だけど、碧は“ありがとうございます”の10文字を呟くだけで、席についた。
もてる人って、こういうのが上手いよなあ。
心配していた“あのこと”の事後処理も上手くいった感じで、いつもどおりの雰囲気だし。
お礼方々、後でまたお弁当を買ってこようかな。
気分が上がって、科研の申請書のチェックも乗ってくる。
そうして順調に科研も補助金も進んで・・・どうしてこうなったんだろう。
碧は自分の部屋のバスルームを磨いていた。