夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


こういうのを、世間は都合のいい女というのかもしれないが、それがなんだ。


反対に美味しい状況を堪能しているんだっ。


力いっぱいにバスルームの床をブラシで磨き上げる。


「お待たせしました」


掃除と共にシャワーを浴びると、ルームウェアに着替えて、リビングの宗雅にそっと声をかけた。


「お借りします」


すたすたとバスルームに入っていく宗雅の背中に、あわてて声をかけた。


「洗濯機の上に着替えを置いておきましたので」


半身だけ振り返って、じっと見下ろす。


「それ。
誰の?」


声が嫌そうだ。


「葵のですけど。
嫌ですか?
 下着までは無いですけど」

「ん、ま、いっかな」


なんですか、その軽い返事。


ああ、疲れた、休みたい。


でも、水でも用意しておかないとうるさそうだな。
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