夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


   *


勝手知ったる場所からバスタオルを出して使い、洗濯機に投げ入れる。


どうせベッドにもぐりこむだけだから、そのまま裸で出て行った。


ベッドに手をついて、碧の耳元に口を近づける。


「碧さん、シャワーどうぞ」


返答がないのに、顔を覗き込んだ。


なんだか痛そうな寝顔だ。


宗雅は気になって上掛けを引いた。


背中は赤いが、擦り傷はない。


でも、丸くなっている。


宗雅はそっと膝を抱え込んでいる腕をほどき、足を緩めてあげてから、隣に横になった。


後ろから抱きしめる。


宗雅の暖かさが伝わると、碧の体からこわばりがほぐれるのがわかった。


最低な男という自覚はある。
< 200 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop