夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
“誰か、お持ち帰りしてた?”と喉元まで出かかったが、ひっこめた。
不審に思われてしまう。
後腐れのない女の人、みつけたかな。
私・・いつでも空いているけどって、本当に都合のいい女の思考になっている。
心のどこかで宗雅からの連絡を待ち続けながら、自分のマンションで年を越した。
実家には帰りづらいから、ここ何年も帰っていない。
それを知っている葵が母の家に誘ってくれたが断った。
母と顔を合わせれば、“結婚”の二文字を繰り返すのに気が進まない。
1人での年越しは慣れているはずが、おせちもない今年の正月は、初めてさびしいと感じた。