夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


      *


年が明けて早々に、プロジェクトチームは撤収作業に入っていた。


後は報告書の提出だけなので、大学ではなく本社に戻って十分作成できるのだ。


藤井が段ボールにファイルを押し込む。


「なんだか、あっという間だったよな~」


同感だ。


宗雅も机から文房具を取り出し、大学への返却箱に入れる。


「もう碧ちゃんと会えないなんて」

「そんなに会ってないでしょ」


思わず反射的に返してしまった。


藤井がにや~っと笑っている。


「そんなことないよ。
 ラストスパートをかけたもん」


こっちが懸命に顔を合わせないようにしているのに、この先輩は。


むかっ腹がたって、はさみを投げ入れた。
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