夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


     *


“若手の会”というのがある。


業務についての勉強会ではない。


お酒の場で親睦を深める会である。


碧は、この性格と年齢で呼ばれなくなって久しい。


今まであったことを聞いても、全く気にしなかったが、今回は気持ちに引っかかった。


プロジェクトメンバーに声をかけて一緒に飲んだらしい。


それはちょっと興味あった。


商社なんて未知の世界で、だからどういう仕事をしているのか聞いてみたかった。


いいなあ。


この年になってしまうと、なかなか世界が広がらない。


努力していないと、それどころか、どんどん狭くなる。


なので、どんどん狭くなっている。


まともにそれと向き合うと、あせってしまって苦しくなるから、気づかぬ振りだ。
< 21 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop