夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


「どういうのが好みって聞いたら、ダンディーなおじ様なんだって。
 どうしよう」


なにがだよ。


おまえのどこがダンディーなんだ。


先輩に対してあるまじき暴言を吐きそうになって、くちびるを引き結んだ。


「ほら、見て、この間ランチで一緒に写真撮っちゃった」


スマホの画面をつきつけられる。


碧がちょっと困惑気味に微笑している。


宗雅は藤井のスマホを掴むとぐっと下に下ろした。


「仕事中ですよ」


つっけんどんに言うと、文房具の箱を持ち上げた。


「他に文具あります?」

「あ~、ソウ、会議室にホワイトボードのペンとか置きっぱだわ」

「了解です」


宗雅が事務室を出ていくと、後藤が呟いた。


「藤井さん、いじめすぎ」


藤井はただニヤッっと笑った。
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