夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
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事務室の入り口がざわめいている。
プロジェクトの藤井が庶務部長席に歩いて行くのが見えた。
部長が声を張り上げる。
「プロジェクトの皆さんが最後のご挨拶に・・」
今日、最後なんだ。
ぐっと胃を握られる感触がした。
そっか。
宗雅からの連絡は来なかった。
それは二人の関係がどういうものだったか、明白に教えてくれる。
碧はあえてプロジェクト集団の方へは視線を向けず、柱の陰に隠れた。
姿を見ちゃったら、次に行く努力を続けている自分の気持ちが、振り出しの戻るような気がした。
ざわめきが遠のいて、碧はほっとして席に戻った。
今年度のファイルは早々に倉庫にしまってしまおう。
思い出す物は少ない方がいいから。