夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


「あ~あ。
 残念ですねー」


庶務の後輩の多田が同意を求めるのに、碧はうなずいておいた。


「碧先輩の業務、内藤さんが担当だったじゃないですか。
 よく聞きに来ていましたよね」

「まあ・・・」


聞きに来ていただけじゃないけど。


言葉を濁すと、多田の目がきらりと光った。


「連絡先とか、聞いています?」

「え?」


きょとんとしてしまった。


連絡先を聞くなんて、考えてもいなかった。


「なんだー、ダメかあ。
 内藤さん、すっごくガードが固くて、みんなでランチとか食事の誘いをかけても全然来ないし。
 事務室の出待ちをした子もいたんですけど、上手くかわされちゃうし。
 帰り道、つけても巻かれちゃうし」


そ、そんな事になってたの。


もしかして残業の後、一緒に帰っていたの見られている?


今更になって、びくびくとチキンが顔を出す。
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