夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
そうだよね。
朝のコーヒーなんて一度も飲まないで、さっさと帰っていたし。
碧だって、そういう関係相手が、男性の中でどういう分類なのかわかっていた。
だけど改めてつきつけられると、ダメージはある。
碧は向かいのデスクに何気なく目をやった。
少しウェーブがかった黒い艶のある髪が、山積みになっている書類越しに見えたっけ。
背後の窓から見える暗闇と同じ色。
夜が似合う男だった。
素敵な思い出。
そういうこと。
碧は口元を緩め、何もない空間をしばらく見つめていた。