夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
え?
瀬戸内はプロジェクトのメンバーではなかったから、碧を知らないはず。
店内のざわめきで二人の会話は聞こえなかったが、瀬戸内は砕けた様子で話しかけている。碧は若干引き気味の上、
硬い表情だが、それでも慣れた様子だ。
「もしかして。
瀬戸内さんの彼女?」
「え、今、総務課の新人と付き合っているんじゃなかった?」
「そうなのー?
知らなかった」
宗雅は自分がガン見しているのがわかっていた。
でも目を離せない。
瀬戸内が体の向きを返そうとしたのに、やっと視線をメニューに戻した。
「瀬戸内さん、彼女ですか?」
戻ってきた瀬戸内にもう一人の後輩の佐野が弾んだ声で尋ねる。