夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


今年度用の調査ファイルを作っているのが一段落したのに、トイレへと立つと後輩たちが話しているところだった。


「お疲れ様です」


互いに軽く頭を下げる。


碧が個室に入ると、二人は中断していた話を再開させた。


「え~、で、藤井さんは?」

「だめだめ、藤井さんってば奥さんいるんだって」

「なーんだ。
 じゃあ、全員相手がいるってことじゃん」

「やっぱいい男にフリーな人なんていないって」

「だよねえ」

「みんな狙ってるんだから、別れたって噂が流れたら、すぐ次が出来ちゃうって」

「じゃあさ、いてもアタックするしか無くない?」

「玉砕覚悟で?」

「どうせダメなら、ダメもとじゃん?」


トイレのドアが閉まって二人の声が遠くなって消えた。
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