夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
「碧さん?」
その変化に思わず名前で呼んでしまうと、碧の瞳が曇って俯いた。
え、泣く?
反射的に向かい側の席に座ろうとした。
「瀬戸内さんと知り合いだったんですね」
静かな呟きに、冷や水を浴びせられたように動きを止めた。
「ソウ、メシきたぞ」
瀬戸内の呼び声に宗雅は屈みかけていた上体を起こした。
碧も反応して顔を上げる。
もう何も聞けない、頑なな空気が出ていた。
「じゃあ」
何も言葉が見付からず宗雅は呟くと背を向けた。