夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
なぜ自分は、頑なに誰も連れて行かないなんて思ったんだろうか。
なぜ妻という存在が依存だとか思ったのか。
“目が開かれる”。
高校を卒業するまで、毎日受けていた礼拝で聞いていた聖句がよみがえる。
そういう意味ではないし、聖書に対して冒涜のようだが、思い浮かんでしまったんだからしょうがない。
あのメンドクサイ男の毒気にあたったのか。
一旦、心が固まれば、何があってもぶれない。
宗雅は口元で少し笑うと、歩を進め、口を開いた。