夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
「碧さんらしいね。
どのぐらいの滞在で?」
「後、10日ぐらいでしょうか」
私らしいですか?
なんですかね、それ。
碧は憮然としたが、宗雅の目はきらめていた。
「ゆっくりできるね」
確かにのんびりとした旅なのに、碧はうなずく。
居心地の悪さをごまかしたくて、運ばれてきたナンを引きちぎろうとして、その熱さに指を引っ込めた。
皿がガシャンと鳴る。
「大丈夫?」
「はい」
私って、ドンくさい。
恥ずかしさに顔が熱くなった。