夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


「ありがとう・・ございます」


手元に戻ったのは嬉しいけど、ロンドンで返されても。


「内藤さんも琳派、好きなんですね」

「ん?普通」


英文の小冊子を読みながら、しれっと言う。


なんだ、この人。


「鈍いね、碧さん。
 あなたのだから持って来たんだよ」


くすりと笑われる。


えーと・・。


「顔、赤いよ」


うるさい。


碧は図録に顔を隠した。
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