夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
「まだ俺も着いて2週間だから、手続きとか片付けとかで碌に見てないんだよね」
明るいグレーの、生地の厚い麻のジャケットを手にした。
「それにちょうどいいし」
伺うように見たがその先は無い。
「寄り道してから行こう」
そう行って連れてこられた店先で、碧は後ずさりをした。
「こらこら」
宗雅に二の腕をつかまれて、引きずり込まれる。
宗雅は黒いスーツをきた店員と話すと、個室に案内されてソファーに並んで座った。
なんだかすごく場違いで、居心地が悪い。
固まっていると、再び店員が現れて、ソファーの前のローテーブルにビロードのトレーを置いた。
「好きなの、どうぞ?」
シーリングライトでキラキラと光る指輪が並んでいる。
やっぱり、これでしたか。