夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


      *


宗雅のマンションで朝遅くまでウダウダ過ごし、ブランチを取ってから二人で出かけたり、宗雅に予定があれば碧が
一人で出かけたり。


ロンドンに滞在中、ずっとそんな感じで毎日を過ごしていた。


二人で一緒に過ごすのは心地よかった。


生活のリズムが似ていたり、社会への関心ごとが似ていたり、食の好みが同じだったり、共通点が多かったのだ。


明日はいよいよ日本への帰国日だ。


「はいこれ」


宗雅はブランチの席で碧に紙を差し出した。


何気なく受け取って、まじまじと見つめている。


「し・・・仕事、速いですね」


コメント、それ。


宗雅は思わず噴出した。


たぶん、軽くパニックになっているんだろうと察せられる。
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