夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


碧の表情は全く変わらず、じっと紙を見つめていたが、やがてテーブルの上に置いた。


きりっとした眼差しを向けてくる。


「理事長がお父さんというのは本当ですか?」


それか。


知らないなら、婚姻成立まで隠しておこうと思ってたんだけど。


宗雅は元通り椅子に腰をおろした。


「うん。
 あれ、言ってなかった?
 実は俺、高校まであの学校だったんだよね」


何でもないように言ったが、碧が沈んだ顔になった。


「前に話したとおり、うちの両親は離婚しています。
 それにごく普通のサラリーマン家庭です」

「ああ」

「反対、なさると思います」


ぼそぼそと言うと表情が無くなった。
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